板倉茶屋 要

【要確認】住所・営業時間・電話番号・アクセス(原稿に記載なし、後日追記)

タイトル:

季節を味わう会席料理の老舗『板倉茶屋 要』の矜持

リード:

江戸時代の記憶をその名前に刻む『板倉茶屋 要』は、丁寧なおもてなしで季節の美味を楽しめる会席料理店。旬の食材を使った会席料理を一品ずつ最良の状態で味わう時間は、慌ただしい日常を忘れさせてくれる。 90年以上続く老舗ののれんの先へ、足を運んでみた。

見出し:江戸の歴史にちなんだ名を冠する老舗

湯島といえば、夜遅くまで明かりがともる飲食店街を思い浮かべる人も多いだろう。にぎやかな街の印象が強い一方で、江戸時代のこの一帯には大名や旗本の屋敷が置かれていた歴史がある。特に、会席料理店『板倉茶屋 要』があるのは、江戸幕府の老中・板倉摂津守の中屋敷があったエリアだ。

「このあたりを上野と名づけたのも、板倉摂津守だといわれています。葦(アシ)が生えていた不忍池の風景が伊賀の上野の風景と似ていたことから、そう呼んだという説があるんです」と教えてくれたのは、3代目店主の佐藤明さん。

CAP:障子越しのやわらかな光で落ち着いた雰囲気の店内(写真提供=板倉茶屋 要)。

『板倉茶屋 要』は、昭和6年(1931)創業。佐藤さんの祖父母が開業、最初の数年ほどは松が谷に店を構え、後に現在の場所に移ってきたそう。その後、土地の歴史にちなみ、作家・野村胡堂によって「板倉茶屋」と名づけられた。

「店の名前はもともと『要』としてやっていたのですが、板倉摂津守の末裔の方が訪ねてこられて、店の名前につけてくれないかと依頼されたのがきっかけと聞いています。そこで野村胡堂先生に相談したところ『板倉茶屋 要』がいいのではないかと言っていただいたんです」

佐藤さんの祖父の代の頃には、三笠宮さまがお見えになったこともあるとか。古くから、食通のみならず皇室ゆかりの方々や文化人にも愛されてきた店なのだ。

見出し:旬を一品ずつ味わう会席料理

CAP:料理の一例(写真提供=板倉茶屋 要)。

エレベーターでビルの上階へ上がって店に入ると、外のにぎわいが嘘のような静けさに包まれる。店内には座敷の個室が3部屋のみ。1組につき最大24名まで受け入れが可能だという。昼夜ともに限られた組数だけを迎え、一組一組に向き合うのが『板倉茶屋 要』の信条だ。

「本格的な会席料理という形になったのは、私の父の代からです。献立の通り一品一品、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに召し上がっていただくことを大切にしています」と佐藤さん。

CAP:料理の一例(写真提供=板倉茶屋 要)。

季節の食材を使い、旬のものを味わえるのが会席料理の醍醐味。その日市場で仕入れた旬の食材を中心に献立を組み立て、基本の内容も毎月変えるのだという。取材時の5月は、春から初夏へと移り変わる時期。「焼き物だとサクラマスが終わる頃で、マナガツオの西京漬けを出しています。これからはハモやアユの時季になりますね」。

そんな『板倉茶屋 要』の料理は、素材の味を生かした味付けもこだわり。「古くは、武家社会に折詰として戦に持って行って食べられる味付けの強いものを江戸前と呼んでいました。一方、公家社会の京都は薄味という傾向があります。そういう意味では、うちの会席料理の味付けは京都に近いかもしれません」。

CAP:大奥鍋。11〜3月限定のメニューだ(写真提供=板倉茶屋 要)。

また、冬季限定で提供する「大奥鍋」も自慢の一品。江戸時代、大奥では豪華絢爛な着物を汚さずに食べられるものを用意していたそうで、これを現代風にアレンジして復元した『板倉茶屋 要』のオリジナル料理だ。

「祖父が宮内省の大膳職に奉職していた頃、大奥に関する文献を見る機会があったんです。それを参考に、はんぺんに似たしんじょという練り物の鍋を考案したのが大奥鍋です」と佐藤さん。

尼鯛、牡蠣、鮭など、冬の食材を魚のすり身に混ぜ込んでしんじょにしたものを蒸し、大根や里芋とあわせて鍋にする。出汁には削り鰹や昆布、すっぽん、蛤、鶏ガラのスープを使い、幾重にも重なるうまみを生み出すのだという。

見出し:基本とこだわりを堅実に受け継ぐ

『板倉茶屋 要』は今後、佐藤さんの息子さんが後を継ぐことが決まっていて、すでに調理場にも立っているそう。「難しい料理もつくっているので、任せられずに自分でやってしまいたくなるんです」と笑うが、「技術は盗むものだと思っていますし、この業界では手取り足取り教えるということはあまりしません」という言葉の端には、老舗の味を受け継いできた料理人としての矜持がにじむ。

「味付けも祖父母の代からレシピが伝わっています。ただ、食材は時代によって変わりますし、新しいものも入ってくるので、変化させながら店の味を守っていく必要があります」

CAP:調理場に立つ佐藤さん(写真提供=板倉茶屋 要)。*仮

『板倉茶屋 要』が大切にしているのは、旬の食材を最もおいしい状態で味わってもらうという料理の基本。その積み重ねこそが、90年以上にわたってのれんを守り続けてきた理由なのかもしれない。

板倉茶屋 要

地下鉄千代田線湯島駅2番出口から徒歩2分

地下鉄銀座線上野広小路駅・大江戸線上野御徒町駅A3出口から徒歩3分

京成線京成上野駅池之端口から徒歩5分

JR山手線・京浜東北線御徒町駅北口から徒歩6分

JR各線上野駅不忍口から徒歩7分

12:00〜14:00・17:00〜21:30、土・日・祝休

東京都文京区湯島3-44-9 湯島要ビル5F

03-3831-6265

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